チェーンステッチミシンを迎える
去年の12月にひょんなタイミングで2年ほど探していたハンドルミシンを購入することができました。実は現在運用中のタジマの業務用刺繍機を導入するかしないかのタイミングで、このハンドルミシンを導入しようか、タジマを導入しようか悩んでいたことを思い返します。このハンドルミシンは約100年前のシンガーを基に作られたトレジャー(奈良ミシン)のハンドルミシンです。現在はトレジャーは台湾にライセンスを売却されています。当店の機種はブラックに塗られたトレジャー1114-1、いわゆる1型となります。ボディに白くTREASUREと書いてありますが、これは当店でシールを作って貼りました。
アナログである利点を学ぶ
約1ヶ月程このハンドルミシンを触り、試行錯誤をしたことを少し書いてみます。
糸調子
糸調子を取るのは、簡単でありアナログです。現代ミシンと同じで、糸調子皿やスプリングを締めたり緩めたりして調節します。特徴的なのは針棒の高さを変えることで、チェーンの輪っかの大きさを変えられることでしょうか。針を下げると輪っかが小さくなり、針を上げると輪っかが大きくなります。ハンドラーの中島さん云く、生地と針のスペースが1mm程度が良い、とのことです。ただこれはまちまちなので縫って調整が1番でしょうね。
糸掛け
まずは糸を下から引っ掛けて取り出すワイヤーがあります。これはハンドルミシン特有の作業ではないでしょうか。これは下糸、ボビンがないハンドルミシンのため、プーリーを回して糸を掛けたりせず、縫い始めはハンドルをカタカタを下げて針に糸を掛ける作業があります。うまく糸が掛かる時もありますが、何故かうまくかからない時もあり、コツが要ります。
返し縫い
下糸がないハンドルミシンはチェーンステッチで縫い進めて、糸処理をしないとタラーっと糸が抜けてしまいます。調べたり聞いたりするといくつかやり方がありまして、今は下記の様にしています。今後は変わるかもしれませんが今のところです。縫い終わったら針を上げてチェーンの輪っかの糸を引き出す、輪っかをカットする、繋がっていない片方の糸を返し縫いのべら針、ラッチ針のツールで3回ほど糸を返し縫いして終わり、です。ミシンの針をつかったり、縫い糸をつかったりする方法もありますが、単にほつれなければ良いので、これっといった正解はないように思えます。
イラストを描いて刺繍製品を作る
今後はタジマの刺繍機でワッペン、トレジャーのハンドルミシンでもワッペンを製作していきます。図柄は当店で描いたデザインです。
また古着などにハンドルミシンで刺繍もチャレンジしていこうと思っています。左が今回ハンドルミシンでチェーンステッチしたもの、右がタジマの業務用刺繍機で刺繍したもの、となります。