今回はお客さまよりオーダー頂きましたデータを基に刺繍ワッペンを製作していく流れをまとめてみたいと思います。
刺繍でどこまで表現できるのか
まずはお客様が実現したいワッペンと当店が実現できるワッペンの乖離がある場合には、その点を解消していきます。
今回の例ではないですが、織ネームの刺繍とジャガード刺繍を混同してしまうと実現できるワッペンが全く異なってしまいます。刺繍と一言で表現すると、かなり広範囲になってしまう場合があるので、明確な区別が必要です。
織ネームとは
身の回りにある織ネーム製品はジーンズポケットなどに付いているタグやTシャツのネックの部分に縫い付けられているタグです。これは織り機で織り上げるもので刺繍とは異なります。当店でも製品に縫い付ける製品タグはこの織ネームとなります。最大の特徴は強度と再現性の高さです。特に小さい文字の再現性は高いです。
刺繍とは
イメージ通りの針と糸で縫っていく作業です。
分かりやすいように、手で行う刺繍は手刺繍、機械で行う自動刺繍はジャガード刺繍と区別しています。当店でご提供しているのはジャガード刺繍とハンドルミシンによるチェーンステッチ刺繍です。ジャガード刺繍の最大の特徴は量産できることです。細かい文字の再現性は織ネームより低いです。これは物理的な針の太さと糸の細さに起因します。なので相対的に織ネームよりも大きくなります。
混同しやすい点とは
上記にありますように織ネームと刺繍は別物ですが、意識しないと全て刺繍で表現されていると混同してしまいます。この点で刺繍で細かい文字や絵柄が再現できると勘違いしてしまうことが多いように感じます。なのでどうしても表現したい場合にはワッペン自体を大きくするか、刺繍で表現しない、もしくは絵柄を変える、となります。
刺繍データを作る
この区別がついたとは、表現できることと表現できないことを切り分けます。
ジャガード刺繍では細かずぎる絵柄は密度や絵柄のデータの作り方を工夫してできるだけ要望に近いワッペンに近づけていきます。
刺繍データはパンチング代、データ代などと言われますが、現代ではデジタイズ代と呼ばれることが多いです。パンチングと言われたのは昔は点字のようにパンチングをしてデータを作っていたことに由来します。
具体的な切り分け作業
今回の場合ですと、画像の左側は実現したいjpgデータです。ゼウス調の絵柄の顔の部分は目や口、髭などは1mm.2mmです。この細かい部分をどう表現するかはデータを作るパンチャー(当店)次第であり、腕の見せ所となります。結果として付加価値となると考えます。
今回はここまでです。次回は試作を製作する流れをご紹介していこうと思います。